掲載:2018.06.30)いまさら聞けない介護保険制度のこと② ~新制度について~※2018年施行
いまさら聞けない介護保険制度のこと② ~新制度について~※2018年施行
介護保険制度は2000年にスタートしました。そして介護保険法は2005年、2008年、2011年、2014年と改正されてきました。2017年にも大きな改正が行われ、2018年からその施行が始まります。今回はこの改正の背景となった現状と、改正で何が変わるのかについてご説明いたします。
【もくじ】
- ・介護保険制度が改正される背景
- ・「加入者割」から「総報酬割」に変更
- ・自己負担額の変更
- ・共生型サービスの開始
●介護保険制度が改正される背景
現在の日本は、医療や介護などの社会保障給付費が過去最高を更新し続けています。高齢化社会が急速に進むと同時に少子化も進み、今までの介護保険制度では経済的に破綻が生じることが懸念されてきました。さらに2025年には団塊の世代が75歳以上となりますので、高齢者のための介護や医療のニーズがより大きくなると予想されています。それを踏まえ行われる今回の改正では、増え続ける社会保障給付費を抑制する目的があります。
●「加入者割」から「総報酬割」に変更
今までの第二号被保険者の介護保険料は、「協会けんぽ」または「健康保険組合」が第二号被保険者数に応じて負担する「加入者割」を採用してきました。「協会けんぽ」も「健康保険組合」も保険料負担額は同額ですので、所得が低い利用者の多い「協会けんぽ」は負担割合が多くなっていました。一方、「健康保険組合」は大企業に所属しており、負担割合は少ない額ですんでいました。
今回の改正ではこの「加入者割」を見直し、報酬額に反映させる「総報酬割」に変更となります。つまり、高所得者の負担割合が増加するようになるというわけです。この改正については2017年から段階的に開始されており、今後3年間かけて全面導入される予定となっています。
●自己負担額の変更
介護保険制度がスタートしてから介護保険サービスの自己負担は原則1割でしたが、2014年の改正で一定以上の所得のある人は2割負担となりました。そして2018年8月から一部のサービス利用者(特に所得の高い層)の自己負担が、2割から3割に引き上げられます。ただし月額44,000円が上限として設けられています。厚生労働省の試算によると、3割負担となる対象者数は12万人ほどだと公表されています。(「特に所得の高い層」の具体的な基準はまだ示されていません。)予測される基準として、単身世帯の場合「年金収入」+「その他の所得340万円以上」が相当するといわれています。
●共生型サービスの開始
今までは市町村が認めた場合「介護保険事業所」は障害福祉サービスを提供することができましたが、その逆は認められていませんでした。つまり障害福祉サービスを利用していた方が65歳になると、介護保険優先の原則に従って「障害福祉事業所」から「介護保険事業所」に移らなければ適切なサービスを受けることができませんでした。
今回の改正でこの仕組みが見直され、障害福祉事業所が介護保険事業所の指定を受けやすくなる新しいサービスが開始されます。それは、「ホームヘルプサービス」や「デイサービス」、「ショートステイ」などを「共生型サービス」とするものです。
高齢者と障害者の区分を取りはらわれ、一元的な介護が提供されるようになります。また限られた医療や介護現場での人材や労力を、最大限に活用することもできるようになることが期待されています。
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